2017.09.22
ブラシの選択
歯ブラシは現在犬猫用のブラシも発売されています。
以前の犬猫用ブラシは先のブログで書いたような部位が磨きにくいものだったのですが最近はヘッドが小さく、ブラシの毛の長さが短くブラシの高さを低く作ってあるものが入手可能です。
左が人用、右が犬猫用です。
これらは上顎の第4前臼歯や後臼歯を磨きやすいのでオススメです。
また毛の束の先端を細くしてあるブラシは猫のブラッシングをするのに便利です。
予防用と歯周病用のブラシがありますので動物病院で相談して選択するのが良いでしょう。
2017.04.17
猫の歯周病予防
猫は犬よりもお口が小さいので歯磨きも小さいブラシのほうが磨きやすいです。
日常多くの猫ちゃんの口腔内を診察しています。
前にも申し上げましたが犬や猫の歯磨きの目的は歯石を着かない様にして歯周病を予防するためです。
しかし歯に歯石がたくさん付着しているにもかかわらず歯周病があまりない猫ちゃんもいればそれに反して歯石はそれほど付着していないのに歯周病や歯肉口内炎がある猫ちゃんもいます。
猫ちゃんの場合は口腔内にいる歯周病菌の数や種類、また猫ちゃんの身体状態によっても歯周病や口内炎の症状は異なるようです。
猫ちゃんの中には唾液のヌルヌルだけでなく柔らかい歯垢(プラーク)が歯に付着することで歯肉や口内炎を起こしていることがあります。
特にトラブルが起きやすいのは上顎の奥歯(前臼歯)です。
猫ちゃんの場合はこの場所を意識してブラッシングやクリーニングするだけでも歯周病の予防効果があがると思います。
奥歯はブラシや綿棒が届きにくいのでクリーニングにちょっとしたコツがいります。
動物病院に相談してテクニックを伝授してもらうと良いでしょう。
2017.02.14
ワンちゃんネコちゃんに歯磨きする目的 No.3
歯石の原因となるのはペリクルと呼ばれる唾液のヌルヌルです。
歯に付着しているペリクルを除去してあげることが犬猫のブラッシングでは大切なんです。
ペリクルを除去しやすくするためブラッシングの時には歯ブラシと一緒にお水をトレイに入れて用意したおきます。
そして歯ブラシをトレイの水で充分に濡らしてから使用します。
そうすると歯の表面などに付着したペリクルが除去しやすくなります。
ペリクルがブラシにとれてきたらトレイの水でブラシを洗ってキレイにしましょう。
それから続けて他の歯も同様にブラッシングしていきます。
ペリクルが歯石になるまでの時間は16時間といわれます。
そのため、可能であれば1日2回ブラッシングすることをお勧めしています。
成犬や成猫は幼少時からブラッシングにならされているわけではありませんから最初は短時間で終わらせるようご家族お願いしています。
口腔内を診察すると「この子はこの歯が汚れやすい」「この歯が歯周病になりやすい」という場所がだいたいわかります。
獣医師に指摘してもらいその部位だけをブラッシングすることから初めてもよいでしょう。
獣医師や看護師がブラッシングしているのを見ていると簡単そうに見えますが実際に自分でおこなうとなかなか思う様にうまくできないもできないからといって落ち込むことはありません。
当院ではご家族に実際にブラッシングしていただき、どこが難しいのか、どこがうまくできないのかわかったらブラシを持って来院いただく様にお願いしています。
上記のことが明確になればピンポイントでテクニックを指導することは可能です。
当院では皆さんそのようにして少しずつブラッシングができる様になっていってます。
2016.06.29
ワンちゃんネコちゃんに歯磨きする目的 No.2
1.歯ブラシの選択
ブラッシングに使用する歯ブラシは人が使用するものでも利用可能ですがブラッシングするワンちゃんの口腔内の状況に応じてカスタムする必要があります。また毛先の形状により予防歯科用のもの,歯周病用のものがあります。
これらの選択に関しては主治医の先生と相談してチョイスするのがよいでしょう。
2.いつ磨くか?
人は「食事の後に虫歯にならないように歯を磨きましょう」と歯医者さんにいわれて歯ブラシしていますよね。
犬や猫の主な歯磨きの目的は歯石をつかないようにして歯周病を予防するのが第一目的です。
また,ワンちゃんや猫ちゃんにしてみれば食事は一日のうち楽しみにしていることのひとつです。楽しかったことの後に嫌なことをされたらだれでもそれがますます嫌いになってしまします。そこでワンちゃんや猫ちゃんの場合は食事の前に歯磨きをしてもらうようご指導しています。散歩が好きなワンちゃんだったらいい子に歯ブラシをやらせてくれた後にご褒美として散歩に行く,猫じゃらしで遊ぶのが好きな猫ちゃんなら歯磨きの後におもちゃで遊んであげると良いでしょう。
では次にもう少し具体的なテクニックをお話ししましょう。
(続く)
2016.03.04
ワンちゃんネコちゃんに歯磨きする目的
「ペットの犬や猫たちにも歯磨きが必要ですか?」
飼い主さんご家族からこのような質問をよく受けます。
はい。ペットの犬猫には歯磨きが推奨されています。
ではなぜ犬や猫に歯磨きが必要なのでしょうか。
私たちは小さい頃から言われてきました。
「虫歯にならないように食事の後には歯を磨きましょう」と。
人は虫歯予防の目的で歯磨きします。
しかし犬や猫には虫歯の症例はほとんどありません。
犬猫の歯科疾患で最も多いのは歯周病なんです。
では犬猫が歯周病になる原因は何でしょう。
それは歯石です。
犬や猫の歯磨きの目的は虫歯予防ではありません。
「歯周病を予防するため」、つまりは「歯石がつかないようにするため」に歯を磨くようお奨めしています。
人の場合,食事の食べかすが歯に付着して虫歯の原因になります。
ですからブラッシングで食べかすを除去して虫歯予防します。
しかし歯石の原因は食事の食べかすではありません。
その原因となるのは実は唾液のヌルヌルなんです。
よってペットの子達へのブラッシングはこの「唾液のヌルヌル(ペリクル)」を除去してあげるような方法でブラッシングをしてあげることが重要です。
つまり人とはやり方もだいぶ違う点が多いです。
180度やり方が異なるもあります。
それを知らずにただやみくもに磨いていてもブラッシングの効果が不充分となる可能性があります。
動物たちに辛抱してもらってブラッシングしても効果がないのは大変残念なことです。
ではどのような点に気をつけてブラッシングしてあげればいいのでしょう(つづく)
2016.01.10
健康診断キャンペーンについて
猫たちは自分たちの体調不良をご家族に言葉で伝えることができません。
ご家族の誰かが異常に気がつくまで病気が進行してしまいます。
おうちの猫ちゃんの健康チェック法として血液検査や尿検査などの正常値のデータベースをストックしておくことをおすすめします。
血液検査では赤血球数,白血球数,血小板数,血糖値やコレステロール値など様々なデータを測定します。
当院では病気にかかりやすくなる9歳令くらいまでに年1回は血液検査を中心とした健康診断をおこない,グラフで数値の推移が把握できるようにしています。
検査値が基準参考値範囲内であっても以前より数値が上昇してきていればそれが病気の早期発見につながることもあります。
犬や猫も人と同じように病気は早く見つけてあげることが治療成績の向上につながります。
特に猫ちゃんに多い腎臓病の早期発見には尿検査は大変重要です。
おうちの猫ちゃんも検査費用がお得なキャンペーン期間に健康診断を受けてみませんか?
健康診断時以外に来院時にチャンスある毎に身体検査を受けましょう。
問診,体重測定,体温,心拍数,呼吸数,聴診,触診などをしてもらうことも重要です。
ご家族はおうちの動物を毎日見ているためにおうちの子達の体調変化(体重.毛づやなど)に気づいてないことは少なくありません。
病院で定期的に客観的に動物をみてもらうことも病気の早期発見につながります。
2015.08.01
近くのスーパーマーケットにて
最近、虫避けライトの上に鳩ちゃんが巣を作りました。
入口なのでお店が巣を撤去するかと思いきや写真のような張り紙が。
巣の下の地面も掃除しているのか排泄物などで汚れている様子もなし。
優しいお店の対応に感心しました。
鳩ちゃんがスマホではハッキリ撮影できずかわいい小鳩ちゃんの顔がお見せできないのが残念です。
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2015.07.18
小林義崇先生
山崎どうぶつ病院で眼科クリニックを担当いただいている小林義崇先生。
優しい物腰と的確な診断が飼い主様ご家族に好評です。
当院で小林先生に眼科診療を担当していただくようになって早いもので8年になりました。
その小林先生がご自身の獣医眼科専門病院を5月に開院されました。
先日,内覧会で小林先生の病院にお伺いしました。
小林先生の雰囲気にあったとても素敵な病院です。
ご自身の病院を開院後も引き続き当院での眼科クリニックは担当いただきます。
ただし診察日が木曜日から水曜日に変更になりました。
ご予約の際はご注意下さい。
http://animaleyecare.jp
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2015.07.07
ペットの歯科予防のススメ
私たちはなぜ歯磨きをするのでしょう。
そう、虫歯にならないようにするためですね。
近年、ペットの犬猫もブラッシングをおこなうことが推奨されています。
しかし人間のはみがきとは目的ややり方が少し異なります。
犬や猫は実は虫歯は少ないということをご存じでしょうか?
ではなぜ歯磨きをするのでしょう。
犬や猫は歯周病で歯が悪くなります。
この歯周病の原因が歯石です。
犬や猫は歯周病予防のために歯石をつかないようにする歯磨きが必要なんです。
歯石の原因はペリクルと呼ばれる唾液のヌルヌルです。
これが歯に一定時間付着することで歯石になってしまいます。
「この歯石を予防する方法」でブラッシングすることが大切です。
正しい方法を動物病院で指導を受けておこないましょう。
(犬では近年齲歯の報告も聞かれます。比較的まれにですが)
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専用のケアグッズもあります。
2014.01.22
無麻酔歯石除去について
歯石除去に麻酔は必要か?必要でないか?
獣医師:「○○ちゃん,歯石がついてきましたね.早めに歯石を除去しておいた方がいいですよ。」
飼い主さん:「でも先生,歯石取るのって麻酔しないといけないんでしょ?歯石取るだけのために麻酔かけるのは怖いな〜」
当院の診察室でもよく取り交わされるやりとりです。
以前から歯石除去に麻酔が必要か否かの議論があります。
一部の動物病院やトリミングショップでは、「身体へのリスクが少ない」「動物の身体に優しい」という理由から麻酔なしで歯石除去がまことしやかにおこなわれているようです。
しかし獣医歯科学を専門とする獣医師らから、
「無麻酔での歯石除去はむしろ動物に肉体的・精神的苦痛を強いることになる」
「正しい歯石処置をおこなうことができない」
という指摘があります。
「歯石除去」とはどのようなことをするのでしょうか?
正確な内容を知っていらっしゃるご家族は少ないかもしれません。
歯石除去の重要なポイントは「歯の表面に付着している歯石を取ること」より「歯周ポケット内(歯茎の内部)の歯面に硬く付着した歯石を除去することで歯周病を予防する」ことです。
そのためには、スケーラーという鋭利な先端部をもつ金属性の器具を歯周ポケット内の歯の根面にあてがい力をかけ細かく動かして根面に付着している歯石を掻き取るのです。
スケーラーを無麻酔で歯周ポケット内部の歯に当てると犬は首を激しく振るなどして嫌がります。
頭を強制的に押さえると体を強張らせ逃げようともがきます。
この状況では歯石除去の際に歯周ポケット内の歯肉や根面を傷つけて歯が悪くなってしまう恐れが充分にあります。
歯周ポケット内の歯の表面にエナメル質がないため傷つきやすくとてもデリケートな取り扱いを必要とするエリアなのです。
また歯石除去後の歯の表面をなめらかにする処置(ポリッシング)も必要です。そうでないと不正な表面の歯にはより歯石が着きやすくなります。
無麻酔で歯石除去をしようとすると治療中に動物の急な動作によりスケーラーが動物の舌や口腔粘膜、顔面(目など)を傷つける危険性もあります。
犬は人のように口をあけたままの静止状態を維持できません。時間のかかる緻密な処置を正確におこなうことは不可能でしょう。
また、不快や恐怖から逃れようとして動物が術者や介護者を咬む危険性もあります。
無麻酔の歯石除去で口に触れられるの嫌いになった子は日常の歯磨きなどもさせてくれなくなります。
ワンちゃん達にとって恐怖や痛みがあっても動きを封じられて逃げられない状況(精神的苦痛)は動物に優しい治療とは言えないと考えます。
動物の歯石除去時の麻酔による合併症で飼い主とトラブルになることを憂惧しあえて麻酔を避ける獣医師もいるかもしれません。
全身麻酔の重篤な合併症の発生頻度は極めて稀と言えます。
全身麻酔下で治療を行うメリットの方が明らかに大きいと考えられています。
合併症のリスクより処置を受ける動物の利益が多いのであれば全身麻酔は正当なものといえるでしょう。
私たちは動物たちには可能な限り不要な痛みや苦しみから守ってあげたいと考えます。
意識がある状態で体を押さえつけて治療をおこなうことは「動物に優しい」にはならないとでしょう。
麻酔下では無意識、無痛、不動状態となりますので恐怖や痛みを感じさせず動物を不動化できるため正しい歯石処置を安全におこなうことができます。
以上の理由からワンちゃん達に危険や苦痛を与えずに適切な歯周治療がおこなうために全身麻酔が必須なのです。
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