水をたくさん飲む 尿量が多い

犬や猫が普段よりも水をたくさん飲んだり、尿の量が増えたりする場合(多飲多尿)、体の中で何らかの異常が起きている可能性があります。これらの症状は「多飲多尿(たいんたにょう)」と呼ばれ、腎臓やホルモンの病気などが原因となることがあります。ここでは、多飲多尿の原因や飼い主がチェックすべきポイント、受診の判断基準、考えられる病気について説明します。
【多飲多尿の原因】
犬や猫が水をたくさん飲んだり、尿の量が増えたりする原因はさまざまです。以下に主な原因を挙げます。
- 食事の影響
- ・ドライフードの摂取:ドライフードは水分含有量が少ないため、食後に水を多く飲む傾向があります。
- ・塩分の多い食事:塩分が多いと喉が渇きやすくなり、水を多く飲むようになります。
- 環境要因
- ・気温の上昇:暑い季節や暖房の効いた室内では、体温調節のために水を多く飲むことがあります。
- ・ストレス:環境の変化やストレスが原因で、一時的に水を多く飲むことがあります。
- 病気の可能性
- ・慢性腎不全:腎臓の機能が低下すると、尿を濃縮する能力が落ち、尿量が増えます。
- ・糖尿病:血糖値が高くなると、尿と一緒に糖が排出され、水分も一緒に失われるため、水を多く飲むようになります。
- ・ホルモンの異常:副腎や甲状腺の異常が原因で、多飲多尿が起こることがあります。
- ・子宮蓄膿症(雌のみ):子宮に膿がたまる病気で、多飲多尿の症状が現れることがあります。
- 慢性腎臓病(慢性腎不全)
- ・特徴:多尿、多飲、体重減少、食欲不振、嘔吐など。
- ・原因:加齢、腎臓の慢性的なダメージ、遺伝など。
- ・治療:食事療法、薬物療法、点滴などによる療法。
【受診する上で、チェックしておきたい点】
愛犬や愛猫の多飲多尿に気づいたら、以下の点を確認しましょう。
- 飲水量の測定
- ・1日にどれくらいの水を飲んでいるか
一般的に、体重1kgあたり60ml以上の水を飲んでいる場合は多飲とされます。ペットボトルで水を入れるなどして、どれくらい飲んだか把握すると良いです。
- 尿量の確認
- ・トイレシートの重さを測ることで、尿量を確認できます。
- ・体重1kgあたり20〜40mlの尿量が正常範囲とされています。
- その他の症状の有無
- ・体重の減少、食欲不振、嘔吐、元気がないなどの症状がないか確認します。
- ・これらの症状がある場合は、病気の可能性が高まります。
【このような症状があるときはすぐに受診ください】
以下のような場合は、速やかに動物病院を受診しましょう。
- ・多飲多尿の症状が数日以上続いている。
- ・体重が減少している。
- ・食欲がない、または嘔吐や下痢がある。
- ・尿に血が混じっている、または尿の色や臭いに異常がある。
- ・元気がなく、動きが鈍くなっている。
【多飲多尿から考えられる病気】
多飲多尿の場合は、以下のような病気が考えられます。
- 慢性腎臓病
- ・症状:体重減少、食欲不振、嘔吐など。
- ・原因:加齢や腎臓の損傷。
- ・治療:食事療法、薬物療法、点滴など。
- 糖尿病
- ・症状:体重減少、食欲増加、元気がないなど。
- ・原因:インスリンの不足や作用の低下。
- ・治療:血糖値をモニターしてインスリン投与量を決めて注射、食事管理など。
- 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
- ・症状:腹部膨満、皮膚の薄化、脱毛など。
- ・原因:副腎の腫瘍や過形成。
- ・治療:薬物療法、手術など。
- 甲状腺機能亢進症(猫に多い)
犬や猫の多飲多尿は、さまざまな病気のサインである可能性があります。飼い主としては、日頃から愛犬や愛猫の水を飲んだり尿の様子に注意を払い、異常が見られた場合は早めに受診することが大切です。