前十字靱帯断裂の手術について
2019年07月10日
以前はハスキーやゴールデンレトリバーなどの大型犬が多く来院していた時期がありました。
しかし最近は小型犬が来院するワンちゃんのほうが多くなりました。
近年、整形外科疾患で多く来院するもののひとつが前十字靱帯断裂です。
もとは大型犬に多い疾患でしたが小型犬にも同疾患で来院するワンちゃんが増えました。
あるデータでは前十字靱帯の部分断裂が膝関節が原因で発生する跛行の25~31%を占めると言われています。
今日はこの疾患について書きます。
【前十字靱帯断裂とは】
前十字靱帯とは膝関節の中にある半月板の上に位置する靱帯です。 後十字靱帯と十字にクロスしています。
腿の骨(大腿骨)に対して膝下の骨(頸骨)が前方に飛び出さない様にして膝が伸びすぎてしまうのを防ぐ役割をしている靱帯です。
この靱帯が切れてしまうことで歩行障害や痛みが出る疾患が前十字靱帯断裂です。 |
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【前十字靱帯断裂の原因】
老齢化に伴いおこる靱帯の脆弱化、肥満による負重の増加、膝蓋骨脱臼による膝関節の不安定性(小型犬腫に多い整形外科疾患 後日解説予定)などにより関節が過度に回転したり過伸展することで前十字靱帯が切れてしまうことがあります。(次回症状と診断につづく)
【前十字靱帯断裂に対する治療】
前十字靱帯断裂は成犬の後肢跛行の原因として最も多い疾患と言われています。
日本国内でも発生頻度の高い整形外科疾患です。
診断される機会を逸して見過ごされているワンちゃんも少なくありません。
手術を受ければ多くの症例で機能回復を期待できます。
当院では現在最も推奨される術式(TPLO)での前十字靱帯断裂の手術を行うことができます。
【TPLO手術】
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執刀医紹介
獣医学博士 是枝 哲彰
動物臨床医学会 評議員 |
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- 所属学会
獣医麻酔外科学会
日本獣医画像診断学会
動物臨床医学会
日本獣医がん学会
日本人工関節学会
European Society of Veterinary Orthopaedics and Traumatology
- 経歴
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- 1992年
- 日本獣医畜産大学(現日本獣医生命科学大学)卒業
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- 1992〜94年
- 日本獣医畜産大学 獣医臨床病理学教室研究生
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- 1994~98年
- 日本獣医畜産大学 大学院博士課程 獣医臨床病理学教室所属
「犬の悪性組織球症に関する研究」にて獣医学博士
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- 1993~98年
- AMIS(現IDEXXラボラトリーズ)診断獣医師:細胞診、病理組織診断
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- 1998年
- 藤井寺動物病院 勤務
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- 1999年
- フロリダ大学ポストドクトラルフェロー
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- 2002年
- 藤井寺動物病院 院長
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- 2007〜13年
- 日本獣医生命科学大学 大学院特別研究生 獣医外科学教室所属