わたしたち人間と同じように、わんちゃんやねこちゃんにも寿命があります。
人間より年をとるのが早い分、病気が悪化するスピードも速いのです。
そのため、病気の「早期発見」、「早期治療」がなにより大切です。動物はものを言えないので飼い主様が気がつかないところで病気が少しずつ進行していることがあります。症状に気がついたときにはすでに病気が悪化しているケースも少なくありません。
わんちゃんやねこちゃんが飼い主様と健康にできるだけ長く暮らしていけるように当院では年に1度の健康診断をおすすめしています。
病気が多くなる8~9歳令になるまでに健康時の血液検査を5回以上受けておくことが理想です。複数回おこなうことで参考基準値内でも徐々に数値が悪化しているのがわかることもあります。過去にさかのぼってデータをとることはいくらお金をだしてもできることではありません。
健康診断では、まず身体検査で体の表面に異常がないか、聴診で心臓や肺に異常がないか、お腹の中にできものがないかなどを調べます。血液検査では血球計算、生化学検査を行います。血球計算では赤血球や白血球、血小板の数を調べます。生化学検査では、肝臓や腎臓などの臓器に異常がないかを調べます。さらに追加で糞便検査や尿検査、エコー検査、レントゲン検査、各種ホルモンの測定を行うこともできます。
血液検査には12時間前からの絶食が必要になります。
わたしたちが人間ドックをうけるように、わんちゃんやねこちゃんにも年に1度の健康診断を。
混合ワクチンは、犬における様々な感染症の予防のためのワクチンです。
この感染症の多くは特に子犬で重症を呈し、死に至るケースもあります。ワクチンには病原株の数に応じて種類が幾つかあり、飼育環境、犬の体質などに応じて接種するワクチンを選択する必要があります。
- どんな病気??
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- 犬ジステンパー
- 接触または飛沫感染し、発熱、目やに、鼻汁、下痢、嘔吐、神経症状が現れる死亡率の高い病気です。
- 犬伝染性肝炎
- 特に幼齢期の子犬で突然死を招く怖い病気です。肝炎に伴う全身症状の悪化に加え、眼球が混濁を示したりすることも特徴的です。
- 犬パルボウィルス感染症
- 主に重度の消化器症状を呈する腸炎型と循環障害を呈する心筋型が知られています。
- 犬パラインフルエンザ
- 主に呼吸器症状を呈し、単独では死亡率が高い病気ではないとされていますが、混合感染や合併症に注意が必要です。
- 犬伝染性喉頭気管炎
- この病気自体は単独では症状はあまり強くないので治療が可能とされていますが、併発によりかなり危険な病気です。
- レプトスピラ感染症
- 人にも感染する人獣共通感染症の一つです。高熱、嘔吐、痙攣、血便など重篤な症状を示す病気です。感染動物の尿中に排泄され、汚染された水から粘膜などを通して水系感染します。
- コロナウイルス感染症
- 主に腸炎症状を呈し、蔓延しやすいのが特徴的なため、多頭飼育の家庭では糞便の処理により注意が必要です。
ワクチンの接種について
子犬の時期には効率よく抗体を獲得するため、生後6週齢前後からの複数回の接種が望ましいです。成犬におきましては、特例を除いては年1回の接種が基本となります。接種するワクチンの種類とタイミングについては、獣医師と相談の上決めてください。
副作用について
めったに起こる事ではありませんが、副作用としては注射部位に起こる局所的な反応から、ショック症状を呈する全身的症状まで様々な症状が報告されています。副作用のリスクを軽減するため、ワクチン接種の際には、入念な身体検査と体調管理が必要です。副作用は注射後1時間以内に出ることが多いとされていますので、病院の診察時間をみて、時間に余裕を持って受けられることをお薦めいたします。
狂犬病とは・・・
現在法定伝染病にも指定されている人獣共通感染症です。主な感染経路として、ウイルスは動物の唾液線や神経組織に潜伏感染しているため、感染動物からの咬傷や擦過傷から体内にウイルスが侵入することが知られています。
狂犬病の症状
- 大きく分けて前駆期、興奮期、麻痺期のステージがあります。
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- 前駆期:発熱、食欲不振、咬傷部位の痛みや掻痒感が見られる
- 興奮期:不安感、恐水症状、麻痺、幻覚、精神錯乱などの神経症状が見られる。
- 麻痺期:歩行不能、昏睡(ほぼ100%が死亡)
狂犬病予防法
日本では1957以降、輸入感染例を除く狂犬病の発生はありません。現在は狂犬病撲滅および蔓延防止のため、狂犬病予防法が定められており、91日齢以上の犬は、取得した日から30日以内にワクチンを年1回の間隔で接種し、地方自治体へ登録することが義務づけられています。
詳細は動物病院にて獣医師にお尋ねください。
フィラリア症は、犬糸状虫という寄生虫が心臓に寄生する病気です。感染経路として蚊が媒介し、吸血時に犬の体内に侵入します。
予防について
- 予防薬
- 薬剤の種類も幾つか選択肢がありますが、一部コリー種の犬種や、雑種の犬では使用できない薬剤もありますので、薬剤の選択には注意が必要です。また、薬の形状も錠剤タイプのものやチュアブルタイプのもの、滴下剤のものと様々ありますので、投薬の難易度に応じてご相談させていただきます。
予防期間
フィラリアは蚊に刺されてすぐ心臓に虫が到達するのではなく、数ヶ月犬の体内で子虫が成長を経て成虫が寄生します。フィラリア予防薬は、この成長段階の子虫を倒すお薬です。よって成虫になってしまった虫へは効果がありません。予防期間としては、始まりは蚊が出始めてから1ヶ月以内で、月1回予防していき、終わりは蚊が1匹も出なくなってから1ヶ月後までとなります。お住まいの環境によっては通年予防が最適ですが、当院では基本的に5~12月の予防を推奨しています。
フィラリア検査
年度の初めには去年予防が出来ていたかを検査しています。検査は院内にて抗原検査キットを用いて行いますが、血液を数滴採取させていただき、10分程で陽性陰性の反応がでます。予防薬をきちんと飲ませているという子であっても、年1度の検査は必ず受けるようにしてください。
ノミ・マダニの予防をしましょう
ノミによってひきおこされる害は、ノミに咬まれることによる痒みだけではありません。ノミの唾液によるアレルギー性皮膚炎や、ノミが大量寄生し吸血することによる貧血、犬条虫(瓜実条虫)症の感染の原因となります。
アレルギー性皮膚炎では、ノミに咬まれた場所だけでなく、全身に痒みの症状をおこすことがあります。痒いところを掻くことで細菌感染がおこりさらに皮膚炎が悪化することもあります。
犬条虫症では、ノミの体内で発育した消化管内寄生虫の卵がグルーミングなどでわんちゃんやねこちゃんの口に入ることで下痢や嘔吐を引き起こします。
ノミによる被害は動物だけではありません。動物と同様にノミに刺されます。人に被害をもたらすケースとして「猫ひっかき病」があります。この病気はノミが猫から猫へ媒介します。猫に症状は出ませんが、これに感染した猫に引っかかれたり咬まれたりすると、リンパ節が腫れて発熱や頭痛をおこしてしまいます。ノミの寄生は動物だけの問題ではないのです。
ノミはお散歩中のわんちゃんやお外に遊びに行くねこちゃんの体に飛び移って吸血します。一度ノミに感染して家の中に持ち込まれると完全に駆除するのは非常に難しくなります。感染する前の予防が肝心です。
予防は月に一度の定期駆虫を行います。当院ではわんちゃん用とねこちゃん用で体のサイズに応じて処方しておりますのでお問い合わせください。
マダニは寄生虫、細菌、リケッチア、ウイルスなど多くの病原体を媒介します。人獣共通感染症であるライム病を媒介します。最も恐ろしいのは犬に貧血をおこす「犬バベシア症」です。以前は西日本の病気とされてきましたが、気候の変化に伴って最近では関東以北でも発生が認められるようになっています。
さらにマダニは、人獣共通感染症であるライム病を媒介します。ライム病は発熱や痙攣、起立不能などの症状をひき起こします。
定期駆虫のおすすめ
わんちゃんやねこちゃんのお腹に寄生する消化管内寄生虫の定期駆除をしましょう。
消化管内寄生虫は、感染しても症状を示さないことがあり、寄生に気がつかないケースが多いです。ペットの糞から出た虫の卵で飼育環境が汚染され、再感染をくり返します。また、飼い主さんの手に虫の卵が付着し、それが口に入れば飼い主さんが感染する危険があります。
お散歩でお外に出ることがあれば周囲の環境から感染する可能性があります。産まれたばかりのわんちゃんやねこちゃんでもお母さんから感染している可能性もあるのです。
消化管内寄生虫は糞便検査では検出されないこともあります。
~犬と猫に感染する消化管内寄生虫~
- 回虫
- 瓜実条虫
- 鉤虫
- マンソン裂頭条虫
- ジアルジア
- コクシジウム(トキソプラズマなど)
- エキノコックス
- 犬だけに感染する消化管内寄生虫
- 犬鞭虫
わんちゃんやねこちゃんにこれらの寄生虫に感染すると体重減少、下痢、嘔吐などの症状が出ます。特に子犬や子猫では、成長不良の原因にもなります。
人に感染すると寄生虫の幼虫が体内を移動して皮膚や眼に症状が出ることがあります(幼虫移行症)。体の弱いお子さんやご老人に感染してしまうと重篤な症状をしめすこともあるのです。
特にトキソプラズマが妊娠している女性に感染するとお腹の中の赤ちゃんに感染して症状が出てしまうこともあります。
当院では生後3ヶ月までに2週間の間隔で2回、その後は年に1回の飲み薬による定期駆虫をおすすめしています。
瓜実条虫の予防にはノミの予防も必要です。
定期駆虫をすることでペットだけでなく飼い主さんや他のペットへの感染の危険を防ぎましょう。