犬と猫の不妊・去勢手術は望まれない妊娠により不幸な動物を増やさないことをことを目的としておこなわれていました。
しかし近年では以下の理由により不妊・去勢手術が勧められるようになってきています。
1.性ホルモンに起因して起こる生殖器疾患の予防
- メス
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子宮蓄膿症
未不妊の雌犬、雌猫におこります。発情後に卵巣から 分泌されるホルモンが子宮に作用して細菌感染が起こりやすくなることで発症します。不妊手術を行っていれば 100%防げる病気です。発見が遅れると子宮内に繁殖した細菌の産生する毒素によって全身状態が悪化し、致死的なな症状を示すこともあります。
最も推奨さ れる治療法は子宮と卵巣の外科的な摘出です。多くは高齢で発症するため、手術の際の 麻酔のリスクがより高くなってしまいます。乳腺腫瘍
犬:一度発生すると良性だったとしても再発率50%初回発情あるいは 2 回目の発情前の不妊手術は乳腺腫瘍の発生率を低くすると言われています。
猫:乳腺腫瘍の80~90%が悪性であるという報告があります。1歳齢未満で不妊手術を行うことで乳腺腫瘍を発症するリスクが減少します。
卵巣腫瘍
子宮・膣の腫瘍
膣脱
偽妊娠
- オス
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前立腺肥大症
血尿,排尿,排便障害,疼痛,後ろ足のびっこなどの症状がみられることがありす。去勢手術により前立腺が縮小します。肛門周囲の腫瘍
会陰ヘルニア など
2.性行動により起こる問題行動の予防
- 外陰部からの出血
- 鳴き声
- スプレー行動
- マウンティング行動など
3.潜在精巣(陰睾)における精巣腫瘍発生の予防
本来陰茎の両側に下降するはずの精巣がお腹の中に残ってしまうものです。このような精巣は、正常な位置にある精巣に比較して10倍以上の確率で精巣腫瘍になるといわれています。
腫瘍の発見が遅れると重篤な症状を示し死に至ることもあります。体の大きさにもよりますが通常は犬では生後1ヶ月で下降すると言われています。特に潜在精巣の雄犬では早期に去勢手術を行う必要があります。
4.糖尿病の発生率を低下させる。
麻酔のリスク
手術には全身麻酔を必要です。不妊・去勢手術は比較的手技も簡単で所用時間も短いために麻酔のリスクは低いとされていますが、100%安全ということはありません。安全な麻酔・手術のために術前に身体検査や血液検査を行います。
肥満
手術後に基礎代謝が減少することでカロリー要求量が減るといわれています。特に雌の卵巣から分泌されるホルモンは食欲を抑える効果があります。そのために手術後に食欲が増してしまうことがあります。しかし手術後の適切な食事管理や運動によって肥満を防ぐことはできます。
犬:生後6ヶ月以上
猫:メスは生後4ヶ月以上、オスは生後6ヶ月以上
入院が必要になりますのでワクチンプログラムを終了している必要があります。
手術は予約制となっております。
ご希望の手術日に実施させていただくためにはお早めのご予約をお願い致します。事前に手術前の準備(絶食絶水についてや費用お見積もり、痛みを和らげるオプションケアなど)に関するご案内の書類がございます。特に初診の方は手術前に一度診察並びにインフォームドコンセントにお越しください。
その他の注意事項
術前検査:手術は全身麻酔下でおこないます。あるデータによると見た目正常に見られるワンちゃんに血液検査をおこなったところ3割以上の子達に基準参考値から外れる数値が確認されたと言う話もあります。動物は言葉で自分の体の異常を訴えることができません。検査でそれを気付いてあげられる事も少なくありません。
不妊手術は1泊2日、去勢手術は日帰りの入院となります。
(動物の状態や退院後の生活の環境などにより入院日数は変更となることもあります。)